240. 水辺に燃える / サン・マルコ広場とサン・マルコ寺院 |
サン・マルコ広場の一角を占める『サン・マルコ寺院』は832年、ヴェネツィアの商人が聖マルコの遺体をエジプトのアレキサンドリアから盗み出し、祀るために建てられたのが始まりと言われる。その基礎・壁の一部を利用して11世紀ギリシア人が設計した後期ビザンチン様式を代表する聖堂が今ものこる。
中へ入って猛暑から解放され一息ついて眺めれば、隙間無く彩色された金色の内装は妖しくエキゾチックに輝く。太い柱・柱間のアーチで空間は分節され意外に(ビザンチンらしく)こじんまりしている。直径13メートル、高さ30メートルの5個のドーム(クーポラ)が十字型に配置され、その立上りに穿たれた窓から射し込む光りが天井、壁面にびっしり描かれた人物画を照らす。イイね
サン・マルコ寺院を正面とすると、奥が広がるパースペクティブを強調した四角形平面の長辺は3階建ての新・旧政庁が同じデザインを執拗に繰返してサン・マルコ寺院を引立て、背の高い鐘楼や天辺にムーア人のブロンズ像がある時計台が奔放にそびえる。
独特な抜け感を漂わせ、船上からの視点を集める広場はまた海(ラグーン)に近いゆえの欠点もあるようで、水没することも少なくない。だからって無粋な堤防を築かないんだけどね。
場所 : イタリア、ヴェネツィア
設計 (竣工年) : ? (9-19世紀、寺院:11世紀)
訪問日 (評価) : 2003年8月3日 (88点)