234. 世界遺産ではない / タシチョ・ゾン |
訪れた空港のある『パロ』、首都『ティンプー』どちらの町にも『ゾン』がある。ゾンはブータンにおける行政単位(県のようなもの)であり、県庁の建物も意味する。対チベット防衛の城塞、役所、宗教施設などの用途で14世紀半ばに13のゾンが設置された。18世紀には53のゾンがあったと言われ、ペマ君(ガイド)によれば現在22のゾンがあるという。ゾンは県庁、裁判所、僧院など政教の中心、あるいは観光のシンボルとして町の核になっている。
ホテル、住宅、オフィスどの建物も軒の深い勾配屋根に白またはアースカラーの外壁。ワンポイント壁画、窓回り・柱・軒など木を思わす多彩な色で飾った民芸調が特徴で、ブータン的意匠が法律で義務付けられているとペマ君はいう。
観光用に開放された部分に入ると、周壁でもある建物に囲まれた石畳の中庭があり、その中心に高楼(ウツェ)がそびえる。それらは暖色系の細やかな伝統様式で飾られ統一感のある景観をみせる。イイね
「すごいね、世界遺産にはなってないの?」ペマ君に訊くと首をふった。18世紀にできてから火災等があり、現役の施設だから都度修繕をくり返しオリジナルではないから世界遺産にならないという。一方メンテンナンスを繰返した建物の部材は更新されてもオリジナル・デザインを踏襲しているという。
場所 : ブータン、ティンプー
設計 (竣工年) : ? (1773年、1996年改修)
訪問日 (評価) : 2017年7月7日 (67点)