217. 歴史を塗り替えろ / ルーヴル美術館 |
『ルーヴル美術館』のコンバージョンの歴史は長く、1190年フランス王フィリップ・オーギュストが(当時町外れだった)この地に建設した防御的な城砦として始まり今もその痕跡をとどめる。(クール・キャレ/方形中庭の南西コーナー)
城から宮殿に用途が変わっても使用者は同じ。宮殿から美術館への変更も求められる空間が似通って、長い長い歴史の割にしっとりなじむ。
2000年と2003年の2回入場した。クラシカルな建物が囲む中庭に作られた、当初異論が多かったと言われるガラスのピラミッドが目をひく。クラシカルな装飾過多のファサードとつるり平滑なガラスはお互いを引き立て合い、スケール的にもほどよい。ピラミッドは広く明るい玄関口を生み出し、(入るのに時間がかかったエッフェル塔に比べ)効率の良さに感心する。
戦災を疎開して免れたアートは一級品ぞろい。『モナ・リザ』は2000年にはフラッシュをたいて撮影できるほど普通に展示されて拍子抜けした。2003年には「見た人はどんどん足を止めないで進んでください」と追いたてられ、芸術鑑賞と言うよりは動物園のパンダのように変わっていた。
21世紀になっても増改築(イスラム美術部門、設計:R.リッチョティ他、竣工2012年ほか)は続き、これからも歴史を塗り替えていくのだろう。
場所 : フランス、パリ
設計 (竣工年) : P.レスコー、J.グジョン(1570年)、C.ペロー(1673年)、I.M.ペイ(1993年) (1330年頃、着工1163年)ほか
訪問日 (評価) : 2000年11月、2003年4月20日 (90点)