198.アルハンブラ宮殿 |
グラナダの山の手に『アルハンブラ宮殿』はある。イベリア半島からイスラム勢力が追いやられ、最後まで残ったイスラム王国がグラナダに築いた宮殿は15世紀末カトリックに奪われ今は世界的な観光地になっている。
ヒューマンスケールで作り込まれた庭園は、壁の様にきれいに刈り込まれた樹木が建造物のつくりだすシークエンスのように次への展開を期待させる。(庭園に附属する14世紀前半に出来た離宮の方は入れなかった)
ボリュームの大きな建物から見下ろすグラナダの町は美しい。白壁の家々が延々と続く人口30万人、『白い都市』である。
建物に入ると一瞬でまた中庭へ。『獅子のパティオ』は猫のようなコロコロしたライオンが主役。偶像を禁止するイスラムが造った宮殿で、唯一登場する動物(12頭の獅子)はお尻を一点に向けた同心円状に並ぶ。時計の役割を果たしているとも言われ、いささかコミカルで緊張感のある空間を和ませる。
圧倒的な建築美を見たあと思う。これを上回る感動は難しいだろうから期せず旅の最後に持ってきた幸運を。そしてスペイン(あるいは西欧)で一番美しい宮殿がイスラム設計施工である真実を。
場所 : スペイン、グラナダ
設計 (竣工年) : ?(15世紀)
訪問日 (評価) : 2002年12月31日 (93点)