『王家の谷』と『ハトシェプスト女王葬祭殿』を訪れ、帰りがけに『メムノンの巨像』を見るのが通常の半日観光パックだが、ルクソール西岸は他にも『ラムセウム(ラムセス2世葬祭殿)』、『貴族の墓』、『王妃の谷』、『マディーナの労働者住居跡』、『セティ1世葬祭殿』など魅力的な遺跡がある。
数ある名所からガイドのラーダさん薦める『ラムセス3世葬祭殿(ハブ神殿)』を追加で選んだ。
ラムセス3世葬祭殿はハトシェプスト女王葬祭殿から数キロ。西岸で見慣れた壮大な荒野ではなく、町の一角のようなゴミゴミしたところにあった。
別名ハブ神殿。ハブ族が住んでいた周壁内にラムセス3世が葬祭殿を作ったと言われるから街中にあるのも然り。
南東を向く正面から入る。ハトシェプスト女王葬祭殿のテラス建築と違い、この葬祭殿は塔門・中庭・列柱室が軸線にシンメトリーに並び、東岸にあったルクソール神殿と似た構成で特筆すべきは壁画の彫りの深さと色鮮やかさ。
「右手を切って敵陣の捕虜の数を数えました」切り取られた手が山積みされたリアル壁画をラーダさんは説明する。神殿っぽくても描かれているのは血生臭い戦勝記録で記念碑的色合いが濃い。カラフルなのは屋根が一部残っているからであろう。見上げた石屋根に描かれたブルー(=空を意味する)は今なお青い。
奥には切り株のように円柱が根元からきれいに無い列柱室跡。「地震による崩壊です」ラーダは言う。「あるいはコプト教徒が神殿を作るため持って行きました」その奥には至聖室がある。「一番重要な室です」それにしては狭く立派ではないけど?「ここはごく限られた身内の人しか来ないから広くする必要は無かったのです」
見ごたえのある内観、観光客は少ない。「どうでしたか?」とラーダさん。ええ、満足しました。
名称 (様式等) : ラムセス3世葬祭殿 (ハブ神殿) (古代エジプト建築、新王国第18-20王朝)
場所 : エジプト、ルクソール
設計 (竣工年) : ?(BC16-11世紀)
訪問日 (評価) : 2004年12月27日 (74点)