103. ケレスの図書館 |
その丘からは遠く水面が見える。かつてエーゲ海の港町として栄えたが、土砂が港を埋め尽した。同時に発生したマラリアで衰え、7世紀の地震で古都エフェソスは壊滅した。
右手は『トラヤヌスの泉』この水を利用して道路を洗ったという。小路に入れば浴場やトイレの遺跡があり、ベンチに穴が開いて下を水が流れる水洗トイレもある。温泉好きのローマ人はアイデァ豊かできれい好きだったらしい。
この大通りの突当りには『ケレスの図書館』がある。7スパン、2層(と言っても高さ10メートル以上)のファサードが残り、エフェソスを代表する建物、あるいは古代ローマ建築を代表する美しい遺構といわれる。
ところでこの地はイオニアと呼ばれる。歴史で習った『イオニア式柱頭(うずまき型)』がイオニアの地で見られるのは感慨深い。注意深く観察すれば、典型的なイオニア式に加えてコリント式との折衷『コンポジット式』のものもあった。
雨は強くなってきた。がらんとした遺跡に色とりどりの傘がさき、足早に夕闇が迫る。
場所 : トルコ共和国、セルチュク
設計 (竣工年) : ? (AD120年)
訪問日 (評価) : 2005年12月28日 (90点)