082.フィレンツェ大聖堂(ドゥオモ) |
例えばドゥオモは白、深緑、ピンクの大理石が織り成す「ど派手なルネサンス様式」で知られるが、この外装は16世紀に作られたゴシック様式のものを取壊した後、ルネサンス盛期から数百年遅れた19世紀に完成している。ちなみに西正面だけ大理石で化粧した教会が多いフィレンツェでドゥオモは建物四周にこの凝った意匠を回している。
ドゥオモの周りには同じ外装デザインパターンの建物が二つ。一つはジオットの鐘楼(ジオット+ピサーノ設計、1359年完成、ゴシック様式) 塔(高さ82メートル)でありながら、ドゥオモのドーム(120メートル)より低いのはシニカルで面白い。
ドゥオモは街中の他の建物から距離を置かず唐突に建っている上、寄り添うような二つの建物(鐘楼、洗礼堂)はドゥオモに近過ぎ「迫力」と「せわしなさ」を感じる。
その日は40℃近い猛暑。順番待ちでうんざりして、階段を上るのにさらにうんざりした。いつまでも続く長い階段、その中間でクーポラの華やかな壁画を至近で見て好感度アップ。屋上に着けば遮るものの無いフィレンツェの景色が広がり、オレンジの屋根の連なりからそこここに教会の頭が飛出る。たおやかな風に吹かれて思う。「並んで上って良かった」
場所 : イタリア共和国、フィレンツェ
設計 (竣工年) : フィリッポ・ブルネレスキ(ドーム1436年)フランチェスコタレンティ(拡大1357年)他、(着工1296年)
訪問日 (評価) : 2003年8月5日 (91点)