003.ハイライン |
新しいホイットニー美術館はハイラインの南のスタート地点に位置し、建物の横に切り落とされた線路の断面が手招きする。期待をこめて上がると全長3キロ弱、かつての線路が残された不思議な空間が待っていた。宙に浮いた遊歩道には人工地盤を感じさせない豊かな緑があふれ、高級感のかわりに統一されたシックな雰囲気をにじみだす洗出しのコンクリート平板の舗装が続く。その床面とつらなる地面から伸びだしたようなベンチ。イイね!
2009年にオープンして以来すっかり観光名所になったようで平日にも関わらず人が多いのが残念なところ。観光地としてマイナーだったハドソン川側に、使われなくなった施設を再利用して集客力のある施設に変えてしまった企画力、先見の明は素晴らしい。ハイラインはその高さゆえ、手摺の向こう目と鼻の先にビルの窓があったりしてプライバシ-とか気になるが、ハイライン沿いとなって資産価値は上がって文句あるまい。
建築設計者は、ディラー・スコフィディオ+レンフロ(diller scofidio + renfro)。初めて聞く名前だったが、HPを見るとハイライン1期~3期のようなランドスケープ・デザインだけでなく、欧州や南米をもカバーし個性的なビルや美術館などを手がけている。もしやと思って探してみれば、2000年にはSLITHER HOUSING―ずれた壁面が長々と続いた集合住宅―で日本(岐阜)でも活躍していた。不勉強を反省しこれを機にディラー・スコフィディオ+レンフロの名前、ちょっと覚えにくいが覚えておこう。
場所 : アメリカ合衆国ニューヨーク市
設計 (竣工年) : ディラー・スコフィディオ+レンフロ (第一区間2009年)
訪問日 (評価) : 2015年7月20日 (91点)