254. 門は進化した / フォロ・ロマーノ |
『フォロ・ロマーノ』はコロッセオの西に隣接した遺跡で、紀元前後にローマ市民の生活中心地として政治・経済・宗教・文化など公共的な建造物が作られた。19世紀から発掘された建物は古代ローマの栄華を今に伝える。
およそ600メートル四方ほどの狭いエリアに三つ(喪失したものを入れればそれ以上)の凱旋門があり、「じゃあ凱旋門前で」と待ち合わせたりすると面倒なことになる。
ローマ最古の凱旋門は単一のアーチで構成はシンプル。オーダー(柱)とアーチを融合させたパイオニアとしてその後の凱旋門のお手本になったとも言われる。イオニア式とコリント式を組合せたデザインは『コロッセオ』に先立つ折衷様式でもある。
外装を飾る大理石彫刻は荒れているが(ティトゥスの凱旋門より)新しく、大きなア-チの左右に小アーチを配した三アーチ式に構成が変わり、プロポーションは縦長に進化している。
ローマ最大(巾25メートル×高さ21メートル)の凱旋門でセムティミウス・セヴェルスの凱旋門と形状は似ている。他の建造物から剥奪してきたと言われる多くの彫刻が門を飾ってフォロ・ロマーノにある傷だらけな遺跡群にあって最も原型に近いかもしれない。
フォロ・ロマーノには凱旋門の他にも多くの面白そうな建物がある。そして崩壊した建物に日陰は無い。遺跡をじっくり見るなら夏はやめたほうがよいだろう。
場所 : イタリア、ローマ
設計 (竣工年) : ?(BC4世紀-AD5世紀)
訪問日 (評価) : 2006年7月16日 (85点)